MotoGP 第2戦 アルゼンチンGPが行われていますが、スイングアーム下のエアロダイナミクスデバイス の通称"スプーン"について、ドカティ・コルセのジェネラルマネージャーのジジ・ダリーニャ氏とテクニカルディレクターのダニー・オルドリッジ氏からコメントが出ています。
また、HRCは28日にホンダバージョンの"スプーン"を提出したようで、「ダウンフォースを発生させる装置」として提出したため却下されたみたいです。
ドカティのはタイヤ冷却用ですからね・・・
しかし、数時間後にホンダが同じパーツを「タイヤを冷却させる装置」と説明して提出すると使用許可が下りました。
まずは、ドカティ・コルセのジェネラルマネージャーのジジ・ダリーニャ氏とテクニカルディレクターのダニー・オルドリッジ氏のコメントを紹介したいと思います。
以下、MotoGP公式ページより
ジジ・ダリーニャ氏のコメント(ドカティ・コルセ ジェネラルマネージャー)
「空力に制限が発生する場合、ドカティ・コルセの全体的な開発費に影響が生じます。
控訴裁判所における我々の弁護費は、空洞試験の5日間とほぼ同じ費用であり、2018年は年間で合計10日間の作業を実施しました。
つまり、空力の開発をせずに50%の予算を費やした事になるのですが、今回の事はこれで終了させて将来を見据えることを期待します。
ドカティと私はコンストラクター間の関係を改善させ、チャンピオンシップをより最善の手段で投資するために結束し、ハッキリしていない全ての技術分野を明確にするために協力するべきだと考えます。
現実的には空力だけでない複雑な問題です。
電子制御もそうでしたが、過去には大変上手く規則を制定しました。
我々はこの意味で改善の可能性を評価する準備があります。
我々はレース前にカタールでテストを実施しました。
結果はタイヤの温度が7~8度ほど低下するということでした。
これは非常に重要なデータです。
リアタイヤの温度に関する2018年のデータによれば、カタールがシーズンで6番目にタイヤの要求が厳しいトラックです。
特に11コーナーです。
リンスのリアタイヤから白煙が発生したことを目撃しました。
2015年にはドヴィジオーゾは11コーナーでロッシに負けました。
ヤマハ車の方がリアタイヤの状態が良かったからです。
トラックにとっては、リアタイヤのパフォーマンスが大変困難であることから、カタールでデバイスを使用することを決断しました。
競争の世界では、常にコピーされる可能性がありました。
アイデアは誰かによって経験され、それが良い物と理解されるとき、コピーをし、さらに改良しようと試みます。
正直なところ、我々もそうしてきました。
ライバルたちを監視し、特にヤマハはシーズン終盤に似たようなデバイスを使用しました。
彼らの目的は我々とは違っていましたが、ダウンフォースを発生させたことは確かです。
しかし、我々も我々のライバルたちもバイクのパフォーマンスを向上させるために開発作業に取り組んでいることは確かであると主張します。
我々の使用目的はタイヤの冷却ですが、他の効果も得られます。
加速段階において発生するダウンフォースは、時速180キロで300~400g前後と推定され、スピードがアップすると効果も上がるので変化しますが、デバイスを使用した動機はタイヤの冷却が我々に利益をもたらすからです。」
とのコメントです。
記事冒頭で少し書いたように、HRCは28日にドカティの"スプーン" をマネした同様のパーツをテクニカルディレクターのダニー・オルドリッジ氏に提出しました。
最初の提出では、「ダウンフォースを発生させる装置」として提出したため却下されましたが、数時間後にHRCが同じパーツを「タイヤを冷却させる装置」と説明して提出すると使用許可が下りました。
今回のHRCの行動は、今のレギュレーションとFIMの裁定に対して意図的に行った行動のようですがHRCの意図した通り、見方によっては実におかしな話ですよね・・・・。
テクニカルディレクターのダニー・オルドリッジ氏からは、以下のようにコメントが出ています。
テクニカルディレクターのダニー・オルドリッジ氏のコメント
「非常にシンプルなことです。
我々はマニュファクチャラーが施行すべきガイドラインがあります。
これはルールブックの付録であり、エアロボディなどの特定の状況を明確にする必要があると考えられる際に更新されます。
開幕戦前の3月上旬に添付ファイルとして、スイングアームに許可されるデバイスに関して、ガイドラインを更新しました。
ガインドラインでは使用の可否が定義されています。
使用が許可されるアイテムは、リアタイヤの冷却と水分散です。
後者はヤマハが使用しました。
ドカティはカタールで私のところを訪ね、「このデバイスの主要な目的はリアタイヤの冷却を助けるためで、問題があると考えている」と説明しました。
私へのデモストレーションを実施した後、検証しました。
私の意見は、彼らが発言したように、主要な目的はリアタイヤの冷却だと判断しました。
この時点から他のマニュファクチャラーは、正当ではないと感じ始めました。
彼らが所有する情報により、より多くのダウンフォースを得るためのデバイスであり、それはガイドラインでは許可されないという意見でした。
これが抗議の理由であり、抗議は拒否されドカティが宣言したようにタイヤを冷却するという私の規則に対する解釈が正しく、私を支持しました。
私が唯一発言できることは、マニュファクチャラーが私のところに持って来る新しいデバイスは承認されなければいけない、ということです。」
そして、ドカティの同郷メーカーであるアプリリアは、早くも同じような装置の開発を検討している動きを見せているようです。
アプリリア・レーシングの最高経営責任者マッシモ・リボラ氏のコメント
「ヤマハが過去にウェットコンディションで投入したデバイスを見た時に、我々も注目していました。
ドカティも同じだと思います。
予算に関して非常に制限があるので、その方向に従う価値があるかを検討しなければいけません。
レース後の月曜に決断を下します。」
とコメントしています。
もしかしたらシーズン末には、ほとんどのメーカーがこういったデバイスを使用しているかもしれませんね。
ジジさんのコメントで"タイヤの温度が7~8度ほど低下する"とありますが、そんなにタイヤ温度が下がると思っていませんでした。
そんなに効果のあるデバイスであれば、タイヤ交換なしで真夏に行われる鈴鹿4耐でメチャクチャ効果を発揮する予感がします!!
MotoGPだけでなくWSBKや他の選手権でも当たり前のパーツになる気がしますね・・・
カーボン製の社外リアフェンダーの様に、カッコイイと言う理由で街中で"スプーン" を付けるバイクも増えていく気もします。
カッコイイと言う理由で、真冬に"スプーン" を装着したまま走って転倒なんて事も起きるでしょうね・・・
話がそれましたが、今後、他のメーカーが似たようなパーツを実践で投入してくる事が予想されます。
果たして、どのメーカーが一番最初にドカティの後を追うのでしょうか!?
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綿密な検証も調査もしてなくて
返信削除「タイヤを冷却させる装置」と説明すれば認証されると・・・
コメントありがとうございます。
削除海外でも同じことを言う方が多いみたいですが、そこなんですよねぇ・・・
難しい案件なのは解りますが、HRCの行動をしっかり受け止めて欲しいと思います。