Ducati Team MotoGPのゼネラルディレクターのジジ・ダッリーニャ氏は「ダニ・ペドロサの引退した今、"MotoGPクラスのライダーとバイクを合わせた最低重量"を制限することが適切だろう」コメントしています。
現在、moto2クラスとmoto3クラスではマシンとライダーを組み合わせた最低重量が採用されており、体重の軽いライダーはバイクにウエイトを積んで走っていますが、MotoGPクラスの最低重量157kgはマシンのみに適応されています。
私個人の意見としては、ジジ・ダッリーニャ氏の意見とは反対で、マシンとライダーを組み合わせた最低重量は必要ないと思っています。
バイクは4輪と違い、常に重量物であるライダーが体重移動をしています。
ペドロサは身長158cm 体重51kgと、MotoGPクラスを走るライダーの中で、最も小柄なライダーでした。
一方、Ducati Team MotoGPから2019年シーズンを走るダニロ・ペトルッチは身長180cm 体重78kgとMotoGPクラスを走るライダーの中で、最も大柄なライダーです。
2018 ダニロ・ペトルッチ |
一般的に考えるとエンジンの馬力が低い程、ライダーの体重が性能に与える影響が大きくなります。
大柄のライダーの欠点を解消するために、Moto3クラスとMoto2クラスでは既にマシンとライダーを組み合わせた最低重量が採用されており、体重の軽いライダーはバイクにウエイトを積んで走っています。
しかし、MotoGPクラスでマシンとライダーを組み合わせた最低重量を採用するには、メリット・デメリットが大きく複雑な状況です。
大柄なライダーは、体を動かすことによってトラクションを最大限に引き出し、300馬力近くあるMotoGPマシンを制御しています。
2018 ダニ・ペドロサ |
ペドロサのライバル達は「ペドロサのコーナー立ち上がり加速が速い」とコメントを残していますが、体重の軽いペドロサにしてみれば、タイヤに十分なトラクションをかけるのに苦労し、バイクのセッティングを煮詰めコーナーリング速度を上げるためにライバルたちよりも大変な努力をしなければなりませんでした。
アルベルト・プーチ氏は、ペドロサがMotoGPマシンで戦う為に大変な努力をしてきたと述べており、他のライダーと同じ体格だったなら、もっと楽にレースを走れたと断言しています。
ヤマハのレーシング・ディレクターであるリン・ジャービス氏は、"ライダーとバイクを合わせた最低重量"について、以下のようにコメントしています。
リン・ジャービス氏のコメント
「体重の軽いライダーは、メリットとデメリットが生じます。
トップスピードは体重が軽い方が上がるのですが、他の状況になるとMotoGPクラスのマシンを制御する事がさらに難しいはずです。
Movistar Yamaha MotoGPには、ロッシとビニャーレスと体格の違うライダーがいますが(ロッシ182cm 69kg ビニャーレス171cm 64kg)、それぞれに長所と短所があります。
私はMotoGPクラスにおいて、ライダーとバイクを合わせた最低重量が必要だとは思っていません。」
さて、本記事のテーマとなるMotoGPクラスの最低重量の見直しについてのジジ・ダッリーニャ氏の主張ですが、おおまかにまとめると以下のとおりです。
ジジ・ダッリーニャ氏の主張
「ライダーの体重がチャンピオンシップに与える影響についてオープンタイヤの時は、それほど懸念されていなかったのですが、タイヤメーカーがワンメイクになった時から、多数のライダーに適合するようにタイヤが選択(および開発)されるようになりました。
毎週ミシュランから色んなコンパウンドのタイヤが提供されますが、ライダー皆が喜ぶことは不可能であり、平均体重から離れているライダーはタイヤの性能を上手く引き出す事ができません。
時に重量はそれほど重要ではありませんが、今のMotoGPクラスではタイヤ性能を上手く引き出し、タイヤとのマッチングがレース結果を左右する場合があると私は思います。
私は"ライダーとバイクを合わせた最低重量の採用"を進める事はできませんが、総合した重量を採用するのは、正当なルールだと思います。」
今の所、ジジ・ダッリーニャ氏の主張でレギュレーションが変更する事は耳にしませんが、私個人の意見を言わせてもらえばリン・ジャービス氏の意見に賛成で、ライダーとバイクを合わせた最低重量の採用が相応しいと思いません。
理由は至ってシンプルで、ペドロサが体重が軽いことで受けたメリットよりも、デメリットのほうが多かったからです。
990cc時代はマシンの最低重量が4気筒で145kgで今よりも12kg軽い車体でした。
年々重くなり、馬力の上がるMotoGPマシンをライディングするには、それなりの体力が必用で、ペドロサとペトルッチのどちらが筋力や体力があるかは明白だと思います。
もし、ジジ・ダッリーニャ氏の主張が受け入れられれば、小柄で軽いライダーは更に重いバイクを操作するハンデが加えられ、大柄で重いライダーにとってはメリットしかありません。
そもそも、体重の重いライダーにもタイヤに熱が入りやすかったり、トラクションが掛けやすかったり、メリットが存在するはずです。
今更ライダーの体格を言うのであればペトルッチと契約はせず、ジジ・ダッリーニャ氏の理想の体重のライダーと契約すれば良かったのではないでしょうか?
私はジジ・ダッリーニャ氏の事が嫌いというわけではありませんが、(アプリリアからドカティへ移籍したときは、かなりショックを受けましたが・・・)流石にMotoGPクラスの馬力を考えると無理のある主張だと私は思います。
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