先日、鈴鹿サーキットで2輪合同テストが行われた全日本ロード選手権ですが、いよいよ開幕まで1ヶ月を切りました。
仕事の昼休みに今年の競技規則を見ていたら、2017年の競技規則から結構変更点がありましたので、2018年に変更された主な規則を取り上げてみようと思います。
観戦の際に参考にしていただければ幸いです。
※変更された全てを掲載すると、結構な数になるので全てを掲載しているわけではありません。
全てを見たい方は、こちらのPDFをご覧ください。
赤字:2018 規則赤字変更点 青字:2018 二重線部分 削除項目
公式シグナル
公式シグナルが下記のとおり改定されました。
4-1-3-1
黄旗及びイエローライト
該旗の提示およびイエローライト点滅の前方コースおよびコースサイドに障害物やその他
危険な状態であることを示す。
・ポストで黄旗の1本振動は、前方コースサイドに危険が存在することを予告する。
・ポストで黄旗の2本振動は、前方コース上に走行を妨げるような障害物など危険が
存在することを予告する。
ライダーはいつでもスローダウンし、停止できるように準備していなくてはならない。
緑旗が振動提示される地点まで、追い越しは禁止される。
・それぞれのスターティンググリッドで振動提示された場合、スタートディレイドを意味する。
解説:
・黄旗規則は、安全性観点よりFIM規則の記載を合わせ、「スローダウン」を削除した。
・ チェッカー後の黄旗提示の目的は、プラクティスセッション(公式予選等)、決勝の終了時にチェッカー旗の見落とし、ダブルチェッカー防止のため、チェッカーを受けたライダー(トップから)に対して各ポストでサービスフラッグとして 「黄旗の静止提示」を行う。
ただし、予選終了直後の複数台による団子状態の場合は、黄旗の静止は状況を見て運用を行う。
4-1-3-5 黒旗 :この旗は、当該ライダーに速やかにピットインの指示していることを示す。
・この旗は、当該ライダーのナンバーを示すボードとともに各ポストで振動提示される。
・この旗とボードは当該ライダーのチームにも告知される
・決勝レース中、安全上の観点でコースから除外する必要のあるライダーに対して黒旗を提示する場合がある。
解説:
規則追加部分の運営判断は、全日本選手権はレースディレクション、地方選手権は、競技監督が判断し審査委員会に承認(報告)を行い運用を行う。運用基準:周回遅れになる状況。
例:このまま推移すれば2周以上遅れになるであろう等の速度差があり、危険性を予測で
きる場合等
4-1-3-9「RIDE THROUGH」の文字に車両ナンバーを付した一体型ボード
当該ライダーは、レース中ピットレーンを通過するよう指示される。途中、停止することは認められない。
通過後、当該ライダーはレースに復帰することができる。
ライダーはピットレーン速度制限を遵守しなくてはならない。
この速度制限に違反した場合、ライドスルーの手順が繰り返され、速度制限違反を2回犯したライダーには、黒旗が掲示され、る。当該ライダーは失格となる。
このボードはライダーのゼッケン番号を表示(黒文字)した黄色いボードがコントロールラインで提示され、あわせて他のポストで追加表示される。
提示位置は、各大会の特別規則または公式通知によって示される。
解説:
今年より、ストップ&ゴーペナルティーからライドスルーペナルティーへ変更され適用は、全日本・地方選手権のスプリントレースは、「ライドスルー」に統一する。
「ライドスルーボード」は、コントロールライン以外の他ポスト(1箇所以上)でも提示し、ボード提示回数は、コントロールライン上の提示をカウントする。
公式予選
15-2-4 公式予選において測定される各ライダーのベストラップタイムにより、大会特別規則に示されたレース出場台数を限度としてスタート位置が定められる。
ベストラップタイムが同じ場合は、セカンドラップタイムによる。
全日本選手権同一大会における公式予選1回に対して決勝2レース制のグリッド決定方法は、以下とする。
決勝レース1のグリッドは、各ライダーのベストラップタイムにより決定する。
決勝レース2のグリッドは、各ライダーのセカンドラップタイムにより決定する。
解説:
・予選基準タイムは、全クラストップタイムの平均108%に変更された。
・予選時のベストタイムが2名以上のライダーが同一のラップタイムを記録した場合は、最初にそのタイムを記録したライダーが優先され、以下この方法に準じて順位が決定される。を統一解釈とし、大会特別規則に記載を行って運用する。
ウエットおよびドライレース
20-5 全日本選手権 JSB1000 リアセーフティーライト
雨または視界が悪いコンディション時にレースディレクションの指示あった場合は、
リヤセーフティーライト(レッドライト)を点灯しなければならない。点灯の確認は、ピットアウト時にオフィシャルによりチェックされる。
解説:
・ウエット宣言時は自動的に、視界が悪いなどレースディレクションが指示した場合は、ライトを点灯させる。
・地方選手権JSB1000参戦の際に、リアセーフティーライト装着車であった場合は、そのまま参戦を認める。
リアセーフティーライト
7-14-6-1 全日本選手権JSB1000クラスの車両には、リヤにレッドライトが装備されていなければならない。
このライトはスイッチでオン/オフ出来る様にするか常時オンにされていなければならず、雨(WET宣言時)または視界が悪い場合レースディレクションの指示により、ピットレーン及びコース上で点灯されなければならない。
点灯の確認は車検で行われる。
7-14-6-2 ライトの向きはマシンの中心線(車両の走行方向)と並行で、かつ後方から少なくともマシンの中心線に対して、左右それぞれ15°の角度からはっきりと見えなければならない。
7-14-6-3 リヤセーフティーライトは、シートまたはシートカウル後端付近に取り付けられていなければならない。
取り付け位置や視認性に問題がある場合は、車検長により改善を指示できる。
7-14-6-4 電源はマシンのメインスイッチと連動しているか、バッテリー(セーフティーライト専用でも可)から 直接接続されていてもよい。
使用する電球は1個以上で、明るさは10~15W(白熱球)または0.6~1.8W(LED)の物を使用すること。
解説:
世界耐久選手権でも採用されている規則を全日本選手権のJSB1000クラスに導入した。
運用方法については、上記「 ウエットおよびドライレース」に記載。
決勝2レースにおける決勝中止および打ち切り時の得点について
19-6-2 決勝2レースの内、決勝2レースとも中止された場合は、ノーポイント(予
選を行った場合は、予選結果にて1/2(少数点以下2桁は四捨五入)のポイントを与え
る)。
ただし、この場合のポイントは大会として1回のみ付与される。
この予選結果(決勝1レースと2レースの決勝グリッド)が異なる場合は、全選手が走行する予選(各ライダーのベストラップタイム採択)を指し、大会特別規則または公式通知にて適用される予選が公示される。
解説:
・レース1、レース2ともに中止の場合は、ベストラップを採択するレース1予選結果のハーフポイントを適用。
J-GP3 特別参加枠について
3-5-3 若手ライダー育成を目的とした 2018年全日本ロードレース選手権 J-GP3 クラスに 大会ごとに最大 10 名の『特別参加枠』を設け、参加条件をクリアしたロードレースジュニア、国内ライセンスのライダーにレース参加を認める。
J-GP3 の決勝進出者の選出は、全日本選手権、特別参加枠のライダーに関わらず、各ライダーの予選ベストタイム順に選出される。
ただし、特別参加枠選手には、全日本ポイント、賞金などは付与されない。
解説:
・特別参加枠選手の決定は、MFJ選抜委員会にて、審議の上、参加者が決定し、その手に は、ゼッケン 50~59 が設定される。
・予選は、全日本選手権、特別参戦枠に関わらず、各ライダーのトップタイムで決勝グリッド が決定する。
・全日本選手権ポイントは、全日本 J-GP3 参加者の着順に応じて 1 位から 20 位のポイントが 付与される。
したがって、特別枠選手には、順位は与えられない。
ABS
7-3-7-12 車両公認時にABSが装備された車両の場合、ABS用のECU交換、取り外しとABS関連モジュレーター・ユニットの搭載位置変更、取り外しおよびホース類の変更は許可される。
ABS機能が排除された場合でも、ABS仕様のマスターシリンダーおよびブレーキキャリパーの改造は禁止される。
ST600用公認車両にABS仕様とノーマル(ABS未装備)仕様が設定されている場合は、ABS仕様からノーマル仕様への変更も許可されるが、マスターシリンダーとブレーキキャリパーはセットでノーマル仕様を使用しなければならない。
解説:
ABS用のECUの取り外し、とモジュレーターユニットの取り外しが明確に記載されST600およびJP250については、「マスターシリンダーとブレーキキャリパーはノーマル仕様のものを使用しなければならい。」が追記されている。
J-GP2クラス技術仕様
9-2-11-1 キャブレター/スロットルボディは、MFJが公認したST600車両状態を維持しなければならない。
エアファンネルの変更は認められるが、公認車両に装備されたスロットルボディーとエアクリーナーボックスに改造なしで取り付けられること。
解説:
エアファンネルの変更が明確に記載された。
JP250クラス技術仕様の変更点
ラムダクト(ラム圧)の無い車両についてはラム圧の追加が以下のとおり改定された。
7-3-29-1-1 エアクリーナーボックスは吸気口部の拡大加工またはラムダクト(ラム圧) の追加を認める。
ただし、エアクエアクリーナーボックスは前記改造範囲以外、MFJが公認した車両の状態を維持しなければならない。
エアフィルター・エレメントは変更または改造、あるいは取り外すことが認められる。
7-3-29-1-1-2 吸気口部拡大およびラムダクト(ラム圧)追加のいずれの場合もエアクリー
ナーボックスに開けられる穴の最大面積は、下記寸法とする。
単気筒 200cc~250cc 直系130mm相当の面積
単気筒 200cc~300cc 直系120mm相当の面積
2気筒 200cc~250cc 直系100mm相当の面積
・ 吸気口を拡大するまたはラムダクト(ラム圧)を追加するいずれの場合も、オリジナル
の吸気口にプラスして、一か所の追加吸気口のみ追加工することが認められる。
オリジナルの吸気口は使用しても塞いでも良いが、使用する場合の吸気口面積は両方を合わせた面積とする。
7-3-29-1-1-3 ラムダクト(ラム圧)を追加する場合のダクトの形状、材質(カーボン、ケブラーは禁止)は自由とするが、ダクト断面積は追加されたラムダクトの一部分に連続して長さ100mmの範囲で、下記規定寸法相当面積のリストリクター部を設けなければならない。
単気筒 200cc~250cc 直系130mm相当の面積
単気筒 200cc~300cc 直系120mm相当の面積
2気筒 200cc~250cc 直系100mm相当の面積
7-3-29-1-4 エアクリーナーボックスの吸気口を拡大し、ダクトをエアクリーナーボックスと接続しない場合(ラム圧なし)は、エアクリーナーボックスの吸気口とエアダクトの吹き出し口との距離は最近位置で最低100mm以上の隙間を設けなければならない。
この場合のダクトにはダクトリストリクター部は設定しなくてもよい。
ラムダクト(ラム圧)付きの車両
7-3-29-2-1 エアクリーナーボックス、ラムダクトおよび吸気ダクト、エアファンネルを
MFJが公認した車両の状態に維持しなければならず、変更または改造は許可されない。
エアフィルター・エレメントは変更または改造、あるいは取り外すことができる。
フェアリングの変更は認められるが、エアダクト取り入れ口の位置、形状、面積はMFJが公認した車両の状態を維持しなければならない。
7-3-29-2-2 ラムダクトおよびインナーパネルの吸気口に直接接続されない範囲で、ダクト穴や導風板形状のカウルの装備も認められる。
ただし、ダクトを付けた場合はダクト出口とインナーパネルの吸気口の間には50mm以上の隙間(間隔)を設けること。
インナーパネルの改造も認められるが、取り外しは許可されない。ただし、改造は吸気口部を除く範囲に限定され、吸気口部はスリットを含め公認車両の状態を維持しなければならない。
解説:
ラム圧付車両の規則を明確にし、統一解釈を図った。
ということで、ほんの一部ですが個人的に気になる変更点を取り上げてみました。
2ヒート制のレース1とレース2のグリッド決定方法ですが、レース1のグリッドはライダーのベストラップタイムを、レース2のグリッドはライダーのセカンドラップタイムを適応するとの事なので、ライダーは1発タイムを出すことだけでなく、気合いの入ったタイムを2周分出さないといけないのは大変ですね・・・・
ライダーだけでなく、観戦する我々も物凄く大変ですよね・・・
レース1のグリッドは今まで通り、予選結果を見れば一目瞭然ですが、レース2のグリッドは後から発表されたデータでも見ない限り解りませんよね・・・
観戦者にも予選が終わった後にすぐに解るような措置をお願いしたいものです!
また、ついにJP250でもラムエアがOKとなりました!!
今までフレッシュエアの事で揉めたりしましたが、これでフレッシュエア論争はようやく終わりそうです。
気になる方はGoogleで"フレッシュエア JP250"と検索して見てください。
AP250では既にラムエアOKでしたが、やっとJP250でもラムエアが解禁されたので、新型が噂されているYZF-R25はラムエア装備で発売されるかもしれませんね!
JP250は低コストが売りだったのがラムエアを可能にするとコスト的な問題が気になってしまいます。
返信削除コメントありがとうございます。
削除まったくもってその通りです!
有名ショップが手がけたJP250コンプリート車両は、NSF250Rの値段とほぼ変わりません・・・
ストックレースだからこそ、細かいところで差が出てしまうので、「○○ショップのラムエアキットを付けていないと勝てない」という状況にならないように願っています。