構造と進化を知って上手くなろう フロント周り編4

今日は、ホイール径について考えてみようと思います。大径だと接地面積が縦長となりニューマチックトレールも大きくなります。その変化も穏やかで限界も把握しやすくなります。


昔あったフロント19インチタイヤは、その意味においても扱いやすいタイヤと言えます。
しかし、小径ホイールだとそれがシビアになります。
その為80年代前半に流行したフロント16インチは嫌われて使われなくなったという経緯があります。

現在の主流である17インチラジアルですが、これは偏平率が大きくてハイトが低く、外形的にはかつての16インチとさほど変わりません。
それでもラジアル化によって、接地面に無理な変形も無く、ニューマチックトレールの急激な変化も生じにくくなっています。
さらにフレキシブルなサイドウォールからのフィードバックがあって、コントロール性は、はるかに改善されています。
カスタム化において、かつての16インチバイアスを現在の17インチラジアルに変えるのは勿論、19インチのものを18インチ・17インチにするのは、悪くない変更だと思います。
性能的に優れていますし、入手できるタイヤの種類も多いからです。







しかし、ただそのまま装着しただけでは、折角のフロントタイヤからのインフォメーションが、最悪の場合にはうまく伝わってこない事にも成りかねません。
その為にもコーナーリング中の保舵力が弱押し舵になるように調整してやる必要があります。
弱押し舵に調整することによって、ここまで述べてきたように限界を感知しやすく、対処もしやすいのです。
たとえ何かの拍子に保舵力を与えられなくなっても、バイクは起き上がり安定を保てます。
軽く押し舵にして、バイクを寝かしつけているような感覚が自然なのです。
車両姿勢が前下がり過ぎると、キャスターアングルが立つことで実質的な舵角が大きくなり、フロント荷重も掛かってくるので、コーナーリングフォースは大きくなり、セルフアライニングトルクも大きくなり引き舵になってしまうことがあります。
ホイールを小径化しても、フォークオフセットが大きいままだと切れ込みが強く、それに対抗して押し舵が強くなることもあります。
ホイール外径まで変える場合、そうした問題にも対処してサイズを決めると良いと思います。

要するに何かを変えようとするならば、全体のバランスを考えて変更しなければダメと言う事です。
バイクは乗る人間の感性が大事な乗り物だと思っています。
自分が乗って気持ち良くなるような正しいカスタムを行っていきたいものです。

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