構造と進化を知って上手くなろう ディメンション編2 アンチスクワット

スイングアーム周りには、スロットルを開けた時に、リヤが踏ん張る効果が備わっているのを知っていますか?

さりげなく決められるようにように思えるアームの角度やピポッドの高さもハンドリングに大きく影響しています。


スーパースポーツモデルにピポッド位置を調整できる機構が設けられているものがあるのも、それだけ影響が大きいという事です。
私の乗っているRSV4ファクトリーも、エンジンの搭載位置、スイングアームのピポッド位置、ステムの位置を変更することができます。

話を戻します。
このアンチスクワット効果のメカニズムについては簡単に言うと、ピポッド位置が高くスイングアームの対地角が大きいほど効果は大きくなります。
リヤショックのプリロードを弱めたことで、リヤが奥まで沈むようになるのもそのためです。

さらに踏み込んでその効果に注目すると、チェーンに張力が掛かった時、バイクにはある点を中心にピッチングしようとするような効果も生じていることになります。

スイングアーム周りの位置関係は、重心位置やキャスター角などとも影響し合っています。
スーパースポーツはロングスイングアーム化されたモデルが多いです。
それらは、アームの角度変化が小さく、アンチスクワット効果も大きく変化しないのです。
そのためマシンの挙動もトラクションも安定させやすいですが、それに対し、スイングアームが短いバイクは、限界こそ低くても、スロットル操作でマシンの挙動をコントロールできるような面白さを得やすいというメリットもあります。
スロットルを開けた時踏ん張らせ、閉じることでリヤを沈ませるといったように、スイングアーム周りの効果もハンドリングに大きくかかわっています。




アンチスクワットとは?

スイングアーム周りの位置関係に注目した時、リヤサスの動きに影響している力の一つとしてチェーンの張力があります。
スロットルのオン・オフでチェーンに生じた張力がスイングアームを沈ませよう、もしくは伸ばそうとします。
駆動が掛かるとチェーン張力によりドライブ軸とドリブン軸を引き寄せようとする力が生じ、下の図の場合で言えば、ピポッド位置を上げようとする力が生まれ、反力としてリヤタイヤを路面に押し付けます。
これがアンチスクワット効果に重要な役割を持っています。


トラクションを掛けてもリヤが沈む効果は小さく、車体姿勢を保ちやすい設定。エンブレ時はリヤサスが伸びやすく、安定性を保ちにくい。









上図とは逆にチェーン張力がリヤを縮ませようとする力となる。エンブレ時もリヤは伸ばされにくいので、フルブレーキングで安定性も保ちやすい。









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