構造と進化を知って上手くなろう チェーン・スプロケ編

チェーンのサイズやスプロケットの形状は世界的に統一された規格なので、現在まで明確な変化をそれほど感じないかもしれません。




しかし、チェーンは80年前後に大きな進化を遂げています。

CB750Fourを筆頭にバイクが一気に高出力化すると、既存のチェーンでは明らかに耐久性が不足する事態となりました。

CB750Fourは開発中に度々チェーンがジョイント部から切れたそうです。

Z1はテストコースを3周全開にするとチェーンがダルダルに伸びてしまったという逸話もあります。


対策としてジョイントレスチェーンが開発されたり、CBやZ1ではチェーンの自動給油機構も設けましたが、基本的には大きなサイズにするしか解決方法は見つかりませんでした。
そこで生み出されたのがシールチェーンです。




ピンとブッシュの間にグリスを封入し、フリクションロスを大幅に低減して耐久性を一気に向上させました。
シールチェーンの登場により、80年代初頭以降のビッグバイクはチェーンサイズを抑えることが可能になりました。

ちなみにチェーンのサイズは3ケタの数字で表され、頭の1桁がピッチ(ピンの感覚)下2ケタが内幅。単位は1インチを8分割しています。


例えば、「520」の場合ピッチは5/8インチ=15.875mm(1インチ25.4mmなので)内幅は2.0/8インチ6.35mmと言う意味です。

すごくややこしいですね!!

話を戻しますが、630が使われていない現在では、大体250cc以上のバイクはピッチが共通で、内幅だけが異なります。

リプレイスチェーンにおいては、密閉性能向上とフリクション低減の為に、シールリングの形状を進化させてきました。

さらに、素材や処理方法でプレートの強度を上げたり、エッジを落として軽量化したり、日々進化を続けているのです。



それではスプロケットはどうでしょう?
市販バイクのノーマル品は耐久性とコストの兼ね合いから、ハッキリ言ってあまり進化していません。

反対にリプレイス品はかなり進化しています。

2次減速比のセッティングのために様々歯数が揃うのは勿論ですが、ドリブンスプロケットはバネ加重の軽減(ジャイロ効果も軽減)のため軽量なアルミ(ジュラルミン)素材を採用したり、耐久性の向上とフリクション低減のためにハードアルマイト処理を施すなどSTDのスチール製とはかなり異なります。
スプロケは実際取り外して、持ち上げてみると違いが判ります。
ハブへの取り付け部や真円度など、高精度を追及しているのもリプレイス品の特徴です。



最後に一言。
サブコンやキャブやピストンやカムを変更してパワーを求める前に、パワーをしっかり伝える部品のチェーン・スプロケットが劣化していたら意味がありません。
パワーアップさせる前にちゃんとチェックしておきましょう!




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