構造と進化を知って上手くなろう リヤステア編5

バイクは生まれつきオーバーステア特性の乗り物で、その延長線上にリヤステアと言う特性を持っています。


ですから、違和感なくこの特性を引き出すことができます。
そしてそれは、タイヤの力学を応用することで実証することができます。
リヤステアが見ていてもはっきり解るのは、ダートトラックなどの派手なカウンターステアです。

これだとリヤにスリップ角がとりわけ大きく付いています。
オンロードでのリヤステア状態だと、トレッドは路面としっかりグリップしながら、サイドウォールがねじられることでスリップ角が付いていました。
でも、ダート上では、タイヤはスライドし、スリップ角はトレッドと路面との間でも生じています。
ダート上では、タイヤはスライドし、スリップ角はトレッドと路面との間でも生じています。
ダート上では、グリップ力は明らかに低くても、タイヤのブロックが機械的に路面に嚙みこんで得られる凝集摩擦によって、滑りながらもしぶとく路面をつかんでくれます。
滑りからもグリップ感覚を感じ取ることができ、大カウンターステアも可能なのです。
ダートトラックを経験したライダーは、リヤステアを生かすことができ、オンロードでも速いと言われますが、それはリヤのスライドをコントロールできるからと言う事に加え、グリップ走行の範囲で会ってもリヤステア状態を作り出すことに長けているからです。

 写真はダートトラック トレーニングをしているキング・ケニーことケニー・ロバーツ選手。
驚くことにフロントを浮かせたままリヤを滑らせながらコントロールしています。

近年のMotogpのライダーでもダートトラック張りのカウンターステアを当てながらコーナーに侵入してくるライダーがいます。
しかし、この動きはバイアスタイヤでは不可能で、ラジアルタイヤになってから可能になった物です。
ラジアルならトレッドはしっかり固められてグリップ力を伝えながら、サイドウォールは柔軟にたわんでくれます。
スリップ角が大きい範囲まで安定したコーナーリングフォースを発揮することができるのです。
バイアスのようにある程度のスリップ角の所でタイヤ全体がたわみ、トレッドの設置状態に悪影響を及ぼすということが少ないからです。
明日は近年のバイクの進化において、リヤにあの様にワイドなタイヤが使われるようになった理由を考えてみたいと思います。
おそらく多くの方は、強力なパワーを生かして立ち上がり加速をよくするためであると考えておられるのではないでしょうか?
確かにそれは間違っていません。
しかし、それだけではないのです。
大体予想が付いている方も答え合わせのために明日も読んでくれると幸いです。

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