構造と進化を知って上手くなろう サスペンション編4 サスセッティング


ほとんどのライダーは、足回りを買った時の状態のままバイクに乗り続けていることが多いのではないでしょうか?

しかし、その状態が自分にとって最適とは限りません。

なぜなら、バイクメーカーはバイクに乗るライダーの体格や使い方をあらかじめ想定して開発しているのですが、その想定した基準値がすべてのライダーにぴったり当てはまるものとは違うからです。


さらに、新車ではなく中古車を購入した場合、前オーナーが好みに合わせて各部の設定を変更している可能性も十分考えられます。
そうなると自分の乗っているバイクがどういう状態にあるのかを察知するのは困難です。
(今はネットが普及しているので、調べるのは比較的簡単になりましたが・・・)そこで、是非実施して欲しいのが「サスセッティング」です。


難しいイメージを持っているかもしれませんが、是非試してみてください!
簡単にできます。
しかも、ワイディングやサーキットで攻める走りをしなくても、自分用にサスを調整した後は交差点を一つ曲がるだけでもその違いを体感できます。
セッティングを行うときのポイントは伸び側や圧縮側の減衰をいじる前に、プリロードを体重・走る場所・走らせ方に調整すること!
車体姿勢が適正でないと、サスペンションがストロークせず、性能を引き出すことができないからです。

ついでに、私のサスセッティングの手順を紹介していこうと思います。
私の場合、サスセッティングをする際に変更する順番ですが、

①リアのプリロード → ②フロントのプリロード → ③ステアリングダンパー → ④リアの伸び側ダンパー → ⑤リアの圧側ダンパー → ⑥フロントの伸び側ダンパー →⑦ フロントの圧側ダンパー で行います。

一通り乗ってみて、特性を理解した後に、リアの車高調整と突き出し量の変更をし、また①から作業をしていきます。
「変化の解りやすいものから順に調整する」をモットーにしています。
あくまでも、伸び側ダンパーと圧側ダンパーは沈み込みや戻りのスピード調整と考えています。

なぜダンパーが存在するのかですが、バネを使っているからです。
想像してみてください。
5cm程のバネを指でつまんで縮めるのと、同じスプリングを3cm縮めた状態からさらに縮めるのでは後者の方が縮める初期の力と反発力が強いです。
その辺を調節するのが伸・圧のダンパーの仕事です。
走りこむ人は前後サスペンションのレート違いのバネを2~3種類くらい持ってたりします。
反発力の弱いバネを縮めて使うよりも、反発力の強いバネを伸びきった状態で使う方が沈み込みがスッと入ったり、弱いバネ、強いバネでそれぞれ特性が違うので、バネの特性を理解したうえでセッティングを進める必要があります。

ちなみに、サグ出しや1Gの測定はよっぽどのことがない限りしません。
理由として、一番大事なのは「コーナーリング中の姿勢がどういう姿勢か」に重きを置いているので、走ってない直立状態でのサスの沈み込み量はあまり目安にならないからです。

何かに迷ったり、前回のセッティングやSTDからどういう方向にセットしたかを頭の中に入れておきたい場合に図るくらいです。





図は私の乗っている aprilia RSV4ファクトリーの図と写真です。
手順① 4番を緩め、3番のネジでBの長さを調節し、プリロードが決まったら4番を占める。(フックレンチを使用しますが、持ってなければオススメしませんが、貫通ドライバー(マイナス)を使いハンマーで叩いて緩める&絞める)















 手順② 3番のナット(左右)を回しフロントのプリロード を決める













手順④ 1番で伸び側ダンパーを決める

















手順⑤ 2番で圧側ダンパーを決める









手順⑥ 左図1を6角レンチで回しフロントの伸び側ダンパーを決める(左右)







手順⑦ 左図2を6角レンチで回し、フロントの圧側ダンパーを決める(左右)









と、大体こんな感じで進めていきます。
ステアリングダンパーの写真を取り忘れたので、③を飛ばしましたが、何故3番目にステアリングダンパーを決めるかと言うと、サーキットを走っていてステアリングダンパーが弱かったりすると、進入時にステアリングが落ち着かず、そのままアプローチして1次旋回に入っていっても、フロントが気づかない所で暴れて車体の挙動・前後姿勢が乱れ開けロスが出て、それがリアにも影響した経験あるからです。

以前、全日本選手権に参戦中のライダーとサーキットで走る機会がありまして、
「リアがしっくり来ない。もう少し入ってほしいなぁ~」と話していると、
「とりあえず乗らせてよ」→(私)いいよ 

ってな感じで、1週してピットロードをスルーして2週ほど走って、ピットに帰ってきて彼は「さて、どこを変えたでしょう?とりあえず乗ってみて」と言うので乗ってみると確かに良くなってました。

サスが入って開けやすくなったんです。
んで、ピットに戻り「リアのcomp抜いた?」って聞いたら「ブッブー!正解はピットロードでステダンを3クリック掛けた」と言われました。

あの時は目からウロコでした。
サスや乗り方、開け方にばかり目が行ってて、ステアリングダンパーは意識の中から消えていました。

記事が長くなり過ぎたし、そろそろまとめに入りますが、
折角付いてる機能なんだから使わなきゃ勿体ないですよ!
セッティングに迷ったら、ノーマルに戻せばいいだけです!
別に敷居も高くないし、簡単な作業なので、いじってみませんか?

ってことを言いたかっただけです。
ダラダラと長い記事になってしまいました。
読んでくれてありがとうございます。m(__)m




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