構造と進化を知って上手くなろう コーナーリングフォース編2

さて、本日は機能に引き続き、コーナーリングフォース編2になります。
前にも言った通り、理解する必要も覚える必要もないと思います。
あくまでも、何気なく行っているコーナーリングの仕組みを解説するだけなので、気軽に読んでくれれば幸いです。




トレッドがグリップしたことに応じてタイヤは、ねじられるのでスリップ角に比例して、コーナーリングフォースは大きくなっていきます。

しかし、しっかり比例関係にあるのはドライ舗装路で、スリップ角が3~4度か、せいぜい数度以下です。

そこから徐々に頭打ち傾向を見せ10度辺りでピークを迎え下降していきます。
グリップには限界があって、接地面では部分的に滑りが始まるし、ねじりが大きくなると設置状態が均一でなくなってくるからです。

もし、グリップ力に対してタイヤが剛性不足で持ちこたえられなかったら、スリップ角に応じたコーナーリングフォースは得られず腰砕け感が出ますし、剛性が高すぎても滑りだけが最初に始まり、いきなり滑って限界の掴みにくい感じになってしまいます。

グリップ力と剛性のマッチングによるコーナーリングフォースの特性も、グリップ感覚を把握するために大切な要素なのです。

そうした点において、ラジアルタイヤは大変優れています。
サイドウォールが柔軟なためキャンバースラストは大きくなくても、トレッドが固められているので接地圧が均一でグリップ力は安定し、スリップ角の広い範囲にわたって大きなコーナーリングフォースを発揮してくれ、しかも比例関係にある範囲も広くなるのでコントローラブルなのです。

コーナーリングフォースの特性は、グリップ力とタイヤのねじれに対する抵抗力で決まってくるので、両方の要因が影響します。

当然、タイヤサイズが大きいと大きく、リム幅を広げると接地面積も剛性も上がるので大きくなります。


またレース用のスリックタイヤもグリップが高いうえにトレッド部の剛性も高いので、コーナーリングフォースは大きくなります。
空気圧を上げると、剛性が上がりコーナーリングフォースのピークは大きくなるのですが、接地面積が小さくグリップが下がるので、通常域で総合的に判断するとあまり変わらない傾向があります。

タイヤにかかる垂直荷重が大きいとグリップ力は高くなり、コーナーリングフォースも大きくなりますが、荷重の増加ほどは大きくなりません。
グリップ力にもそういう性質がありますし、荷重が大きすぎた場合タイヤが変に変形してしまい、コーナーリングフォースへと変換できなくなるのです。

このコーナーリングフォースと実際のライディングの世界を結びつけるために、ここでスラローム走行をした時の事を想像してみてください。

逆操舵のきっかけを与えると、前輪に舵角が生じ、その時の手ごたえからグリップ感覚とかハンドリング感覚が伝わってきます。
そして向きが変わり始め、ステアリングが切れ、スリップ角が生じたとします。
その時ライダーに伝わってくるのは、スリップ角発生に対するコーナーリングフォースの立ち上がり方です。



その事をコーナーリングフォースのグラフで考えてみると、0度からの傾き具合がポイントになります。
この傾きが急であればハンドリングはシャープに、緩やかであれば穏やかになります。フロントの扁平率が60%だと70%のものよりねじれ変形への抵抗力が大きいのでシャープな傾向を見せます。

当然、コーナーリング中にこの傾きが比例せず頭打ち傾向になると安心感は得られません。
ウェットグリップに関して普通に走るだけならハンドリング感覚は雨の中でもドライ状態と変わりません。
何故なら、スリップ角の小さい範囲においては、ウェット路面においてもタイヤをねじるだけのグリップ力が得られ、コーナーリングフォースもドライ時と変わらず、0度からのグラフの傾きも変わらないからです。




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