構造と進化を知って上手くなろう 空気圧編1

ここまで、ハンドリングやディメンション、タイヤの事を書いてきましたが、よく考えたら空気圧をしっかり合わせていないと意味がないので、空気圧について書こうと思います。

タイヤは内部にエアをインフレートして初めて機能します。

バイクはエア圧のわずかな違いでがらりと走りを変えてしまうだけでなく、適正エア圧の調整無くしてタイヤの性能を発揮させることはできないのです。


まず、エア圧の影響について考えてみましょう。
長い間、エア圧のチェックをせずに走っていて、それを正規の数値に合わせた時、ハンドリングの違いに驚かれた方も多いはずです。
おそらく、ハンドリングが軽快になり、寝かしこみも抵抗感なく、軽くなったことと思います。

エア圧が低いと、タイヤが変形して接地面積が大きくなり、接地圧も接地面の周辺部が高くなるので、ハンドリングは粘って重くなります。
また、オーバーターニングモーメントが大きくなり、寝かしにくくもなります。
さらにひどいと、ブレーキングで起こされる事すらあります。
タイヤの曲がる力であるコーナーリングフォースは、既に記載した通りで、グリップ力とタイヤのねじれ変形の抵抗力で決まってきます。


タイヤのエア圧が低いと、その抵抗力が小さく踏ん張れないので、コーナーリングフォースの最大値は小さくなります。

しかし、通常走行域であれば接地面積が増えてグリップ力が大きくなった分、抵抗力が小さくなるのでコーナーリングフォースの立ち上がりはそれほど変わりません。
そのおかげで、少々ならエア圧がおかしくても普通には走ることができるようです。
ウェット路面では、水膜の浅い小降りのコンディションなら、エア圧が高くてドレッド剛性が上がって水切り効果がいいことと、接地面積が下がることで、おあいこと言ったところで、エア圧のグリップ力への影響はそれほど大きくありません。
でも水膜が厚いところでは、エア圧が低いと周辺部の設置圧が高いかわりに、中央部は接地圧が低くて水が溜まりやすく、ハイドロプレーニング現象の危険性は増します。

エア圧が低くて酷く濡れたところに差し掛かると、途端に激しく滑っていますのです。
と、言う事で雨の時はエア圧が低いのは危険でエア圧を高めにセットするのが無難です。
エア圧は最初に合わせれば後は半永久的に大丈夫と言うものではありません。
タイヤのインナーライナーにしろチューブにしろ、ゴムはミクロ的にはわずかにエアが通過しています。
その為、定期的なエア圧の点検と調整が必要です。

明日に続きます。



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