構造と進化を知って上手くなろう サスペンション編1 

長くなりそうなシリーズですが、どうぞお付き合いください。

”サスペンション”と言っても、フロントフォークとリヤサスがあり、フォークは路面追従機能と操舵機能を兼ねているし、リヤサスはショックユニットが独立しています。


同じサスペンションでも、そう考えると結構複雑ですね。
まずはフロントフォークの歴史を見てみましょう。

80年代後半までは正立フォークが一般的でした。
しかし、タイヤやブレーキ性能が向上したため、ロードレースではハードブレーキング時に剛性不足でインナーチューブがたわんで路面追従性が低下する事態が発生しました。
そこで考え出されたのが剛性の高い倒立フォークです。




倒立フォークがレーサー車両に装備されると、市販車にも瞬く間に広がっていき、その流れは現在まで続いています。
減衰調整機構が登場したのもこの次期で、80年代後半です。
正立・倒立を問わず、即レースに使えるようなSPモデルなど上位機種から装備が始まりました。




その後はインナーチューブ系を拡大したり、減衰調整機構がより精度を増したりしましたが20年近く構造的には大きな変更がありませんでした。
唯一、我が道を進み続けるのがBMWで路面追従機能と操舵機能を独立させたテレレバーシステムやデュオレバーシステムなど、革新的なフロントサスペンションを生み出しています。





話をテレスコピックに戻しますが、2000年代半ばから減衰機構に変化が表れ始めました。
日本のSHOWAが開発したBPFやSFF-BP等です。
既存の構造よりシンプル化を図りながら性能を向上し、軽量化を実現しています。
BPFやSFF-BPってなんぞや?と思っている人に簡単に説明します。



SFF-BPは”セパレート・ファンクション・フォーク・ビッグ・ピストン”という非常に長い名前ですが、どんな機構かと言うと、2本あるうちの片方のフォークに減衰機構(カートリッジを持たないビッグピストン)をもう片方のフォークにプリロード調整機能を集約させ、それぞれの機能を完全に独立させています。
シンプルな構造な為に軽量で、セッティングも簡単です。

ビッグピストンではないですが、昔乗っていたアプリリアRS250の前期型がマルゾッキのサスペンションを採用しており、左右独立機構で左側のフォークはスプリングのイニシャル調整で、右側は伸び側ダンパーの調整となっていました。





倒立・正立に関しては、90年頃はレーサーレプリカが倒立フォークだったのに対して、CBR900RR等のビッグバイクは2000年頃にやっと倒立になりました。
なんでハイパワーなリッターバイクが10年も後に倒立になったのか若い人には解らないかもしれませんね。
理由は簡単で、その頃の大排気量のスポーツバイクの主流が1000ccではなく750ccだったからです。



1990年のGSX-R750は、国内メーカーの750ccバイクで一番最初に倒立サスが採用されています。


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