WSBKでのDUCATIパニガーレの変貌



2012年に市場にデビューした1199パニガーレですが、WSBKでは2013年にデビューしました。

マスの集中化を徹底し、916系から受け継がれてきたセンターアップマフラーを辞めアンダーカウルと一体化した今までにないデザインが美しいですね。




2012年までドカティは、1098Rという名の排気量が1198ccのバイクで参戦していました。
↓カルロス・チェカの乗る1098R(1198cc)です

この1098Rも色々あったマシンでした、当時のレギュレーションではどんなエンジン形式でも1000ccというレギュレーションだったのに、2007年にドカティが市販車の1098を発表すると、数日後にWSBKを運営するFIMがレギュレーションがラムエアシステムに送る空気に吸気制限をするなら1200ccまでOKと言うから世間は唖然としました。

話をパニガーレに戻します。


市販車の画像ですが、これがパニガーレのメインフレームです。

まさかのモノコック!
当時MotoGPを見ていた人は驚いたと思います。
当時のMotoGPのDucatiは、生きる伝説バレンティーのロッシがYAMAHAから移籍して来てました。

そのバレンティーノ・ロッシが乗るMotogpマシン デスモセディッチがモノコックフレームを使用しており、「このフレームはダメだ!変えろ!!こんなんじゃ勝てない!!」怒ってロッシが無理矢理変更させたフレーム型式が1199パニガーレに採用されたのです・・・


パニガーレ発表の記事を見たときに、ロッシを含めこのフレームはダメだろうと思った人は多かったんじゃないでしょうか?

実際どうだったかというと、やはり散々でした・・・
旧式の1098Rがプライベーターで走っていたのですが、サーキットによっては旧型の1098R方が速いという事がしばしばありました。

私やロッシや世界中のバイクレースファンの人は、1199パニガーレの散々な結果に「やっぱりモノコックフレームじゃ・・・」と思いました。


そして2013年シーズン半ばの6月

またしても世間に衝撃が走りました。
第7戦イタリア・イモラから吸気制限がなくなると・・・

勝てないならルールを変えようというドカティのジャイアニズムは素晴らしいとしか言いようがありません。
実際、旧型の1098Rは吸気制限があっても勝てていたのですが、パニガーレになってパワーを出す為に1098Rよりもビックボア&ショートストロークで高回転型エンジンになった為に低速トルクが薄くなって中低速コーナーで速いはずのVツインマシンの特性が上手く引き出せてなかったのです。

しかし、悲しいかなシーズン途中で吸気制限を取っ払ったにもかかわらず、2013年もパニガーレは表彰台に上ることができませんでした。

シーズンが終わり、私や世界中の人は「やっぱりモノコックフレームが・・・」と思いました。




2014年

写真でぱっと見て解るようにエキゾーストパイプの取り回しが変更され、シートレールがパイプフレームになりました。
このパイプフレームになったことで剛性バランスが良くなり乗りやすくなったそうです。
そして、2014年シーズンの結果はどうだったかと言いますと、勝利することはできませんでしたが何とか予選でポールポジションを取れるようになり、1発の速さは向上しました。
「モノコックフレームでなければ勝てたのではないか!?」という気持ちに加え、「パイプのシートレールすげぇ!!」と感じさせられるシーズンでした。


2015年前期


前期と書いたのには理由がありますが、それは後程。

今までずっとテルミニョーニだったマフラーがアクラポヴッチに変更されました。
そして、またしてもシートレールの形状が変わっていますね。
2015年シーズン、パニガーレは第3戦スペイングランプリ・アラゴンサーキットのレース2でついに初勝利を収めることとなります。


2015年後期






そして後期のパニガーレですが、エキゾーストが
まさかの片側1本出しになりました。

この片側1本出しのアクラポヴィッチのマフラーですが、海外のパニガーレオーナーズクラブの方々も、
that crazy new Akrapovic WSBK exhaust」
と驚き、英語圏のドカティオーナーズクラブのBBSで紹介されています。

ページの最初に書いたように、最初パニガーレを見たときはアンダーカウルと一体化した今までにないデザインが美しいと思ったのですが、
シートレールは変わるわ、エキパイの取り回しは変わるわ、終いにはアンダーカウルにスッキリ収めたマフラーが普通のオートバイと変わらない様になり、何だかツギハギ迷走バイクの様になってきました。

レギュレーションで市販のオートバイのマフラーと同じ本数のマフラーじゃないといけないのに何故1本出しにできるんだ!?

と思い、当時海外サイトを調べあさりました。
その時の画像を今探してるのですが見つからず、掲載できないのが残念ですが、黄色の印の辺りに小さな穴があるんです。


なので、これは2本出しマフラーを維持しているという事らしいです・・・・
ここでも発揮されるドカティの恐ろしきジャイアニズム・・・
このマフラーのおかげか、パニガーレはシーズン後半に勝利を重ね2015年シーズンは5勝しています。



2016年




はい。1本出しマフラーが2本に増えました。
腹下にあったサイレンサーもどこかへ行ってしまいました。
成績は2015年の5勝から2016年シーズンは10勝という好成績を残し、勝てるマシンへと変貌しました。

特にシーズン後半、第11戦フランスから最終戦の第13戦カタールまで、全レースでチャズ・デイビスが勝利し、驚異の6連勝を果たし、王者ジョナサン・レイをも凌ぐ素晴らしい走りでした。

もはやモノコックフレームへの心配は無くなり、バレンティーノ・ロッシがDucati時代に「使い物にならねぇ!」と嘆いたモノコックフレームでも十分戦えることを証明してくれました。
きっと2017年シーズンは更にモノコックフレームの熟成が進み、モノコックフレームのアドバンテージを十分に発揮してくれることでしょう!


2017年

2017年シーズンは、チャズ・デイビス選手と久々にレース界に戻ってきたマルコ・メランドリ選手がドカティワークスから参戦しました。
メランドリの前任ライダーのジュリアーノについてはコチラの記事をご覧ください

2017年シーズンはWSBKのレギュレーションが変更され、「リバース・グリッド」方式が採用されました。
それにより、「強すぎる王者 ジョナサン・レイが不利になり今年はパニガーレがついにタイトル取れるんじゃね?」と開幕前に思っていたのですが、2017シーズンの結果は、前年度の10勝から8勝へ勝利数が落ちました。
決してパニガーレが遅くなったわけではありませんが、「カワサキもしっかりとマシンを熟成させて来たなぁ~・・・」という印象が受けて取れました。

そして、2017年シーズン終了後に次期WSBKのベースとなる Ducati Panigale V4 が発表されました。
パニガーレV4
DUCATIの公式発表によると2018年までは2気筒のパニガーレで参戦し、2019年からパニガーレV4で参戦する事が決定しています。

Ducati999はレースで結果を残しましたが、独特のデザインが受け入れられず、販売台数が伸びませんでした。
しかし、パニガーレ(2気筒)はデザインを絶賛されるも、タイトルを未だ取れていません。

2018年に勝てなければ、1988年から始まったスーパーバイク世界選手権で、ドカティ史上、唯一タイトルを保持していないバイクになってしまいます。

Ducati伝統の2気筒バイク最後のシリーズがタイトルを取れなかったのでは、締まりが悪すぎます。
是非とも2018年シーズンは2気筒パニガーレでタイトルを獲得して欲しいです!!






人気ブログランキング

コメント