市販車レース世界選手権を戦う2017年のYAMAHAのマシン達

さて、WSBKのHPにいつWSS300の写真がアップされるのだろうと毎日チェックしていますが、レースウイークに入らないと更新されそうにないので、YAMAHAだけ調べてみました。市販車と比べながら見て行きたいと思います。まずはSBKクラスのR1から



こちらは去年の鈴鹿8耐をHARC-PROから走って、今年はヤマハのファクトリーチームに移籍したマイケル・ファンデルマーク選手の車両です。
市販車がベースですが決められたルールの中で、エンジンやらECUやら細かいパーツもルールの範囲内で変更ができます。
去年と大きく違う所はジェネレーターが交換不可能になり、市販の状態のジェネレーターで乗らなければいけなくなりました。カワサキのトム・サイクスがテストの序盤で去年に比べ乗りにくくなったと言ってましたね。
話をR1に戻します。
下のR-1Mと比べてみてください。似ているようで全然違いますね。

普段見かけるR1と変わらないのはメインフレームしかありません。
カウリングの形状やらタンクの形状やら何から何まで違います。
形は市販車の形をしていますが、街のバイク屋さんでみるR1とは別物です。
特殊なECUやスーパーバイク・キットと呼ばれるシステムを積む影響か、ステアリングダンパーがフロントフォーク左側に移設されています。
スイングアームも形状が違い、剛性が高そうです。

続いてSTK1000の車両です。
PATA YAMAHA OFFICIAL STOCK 1000 TEAMのロベルト・タンブリーニ選手の車両です。
このSTK1000クラスのレースは改造がほとんど許されていません。
上の市販状態の車両と比べてみても、外見ではカウル・マフラー・ステップ以外区別がつかないのではないでしょうか?
見えないところではエアクリーナーとプラグとオイルが違うくらいですかね?
タイヤも私たちが普通に買える溝付きのハイグリップタイヤ
ピレリのスーパーコルサSCのワンメイクレースで争われます。

YZF-R1とYZF-R1Mと二本立てなのはこのクラスがあるからと言っても過言ではありません。
YAMAHAだけでなく、他のメーカーでも上位モデルが存在する理由は、ヨーロッパではレースで勝った次の日はそのバイクの売れ行きさえ左右するとまで言われていて、本当に左右されちゃうんです。
だからメーカーも必死で、「市販状態のまま争うならば、市販状態でマシンのスペックをサーキットに振ればいいじゃないか」とイタリアメーカー3社が上位モデルを発売し、追従する形で近年ホンダやヤマハもその商法に乗っかったもんだから、今では国内4メーカーのスーパースポーツには上位モデルが存在するようになりました。

次戦スペイングランプリのモーターランドアラゴンでSTK1000の第1戦が開催されます。


続いてWSSPのYZF-R6 ルーカス・マヒアスの車両です。

比較用にこちらは市販車


WSSPもストックレースなので市販車とほぼ変わりません。

日本にもST600という改造制限が非常に狭いレースがあり、「日本のST600とWSSPの車両ってどう違うんですか?」と率直な疑問を日本の有名チームのメカニックの方に聞いたところ「んー・・昔はちょこちょこ色々違ったけど、最近に関しては、ほとんど何も変わらん。ST600の車両でWSSP走れるで」と言われました。
2015年まではトラクションコントロールの使用が許されていたのですが、2016年よりトラクションコントロールの使用が禁止となりました。
(その経緯は別の機会があった時に記載したいと思います。)




最後に今年から始まるWSS300のGRT Yamaha WorldSSP300 Teamの車両です。

こちらが市販車


今年から始まるこのレースの改造範囲ですが、英語能力にたけている訳でも無く実は私も細かい事まで解っていません。
なにせ、参加できる車両も
Honda CBR500R
Kawasaki Ninja300
Yamaha YZF-R3
KTM RC390
と、排気量が同じ気筒数でもバラバラなんです。
どうやって、気筒数や排気量によるハンデを無くすかというと、重さで調整する形を取っています。
Honda CBR500R/150kg (2気筒)
Kawasaki   Ninja300/140kg(2気筒)  
Yamaha YZF-R3/140kg  (2気筒)
KTM RC390/136kg    (単気筒)
となっています。

現在1000ccのレースは4気筒・3気筒は1000cc 2気筒は1200ccとなっていて
600ccのレースでは4気筒600cc 2気筒は750cc 3気筒は間を取って675ccとなっていますが、今回始まるWSSでは上記に比べて複雑ですね。
アジア圏で行われるアジアン・ロードレース選手権や日本で行われるJP250では、既に市販車の小排気量でのカテゴリーのレースが行われており、
CBR300R
Ninjya250
YZF-R25で行われてます。
しかし、WSS300が世界基準になってしまうと日本やアジアの人達は世界に繋がらない独自のルールでレースをしていることになってしまうのでアジア人が世界のレースで活躍する道が狭くなる可能性も無きにしろあらずです。

WSS300もSTK1000と同じで今月31日から始まるWSBK第3戦アラゴンから初開催となってます。
YAMAHAの車両紹介というより、知らない人のためのWSBK講座の様になってしまいました・・・

果たして初開催のWSS300カテゴリーはどうなることやら!?
見守っていきたいと思います。



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